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2025年7月開院予定

細胞診で異常があると言われたら
〜子宮頸部異形成の診断と治療について〜
Column

細胞診とは?

子宮頸がん検診で行う細胞診は、子宮の入り口から細胞を採取し、がんやその前段階(異形成)を早期に見つけるための検査です。

「異常が見つかりました」と言われても、必ずしもがんではありません。

ただし、放置すればがんに進行する可能性があるため、次のステップとして精密検査が必要になります。

細胞診異常が見つかった場合の流れ

細胞診の結果は、以下に分類されます。

【扁平上皮系】

結果 略語 意味 推定される病変 主な対応
異常なし NILM 正常 炎症、修復など 通常の定期検診
意義不明な異型細胞 ASC-US 軽度の細胞異常 CIN1の可能性も HPV検査 or 6ヶ月後に再検査
HSILを否定できない異型細胞 ASC-H HSILの可能性 CIN2〜3が疑われる コルポスコピー、組織診、必要に応じ治療
軽度扁平上皮内病変 LSIL 軽度異形成 CIN1相当 コルポスコピー、組織診
高度扁平上皮内病変 HSIL 中〜高度異形成 CIN2〜3相当 コルポスコピー、組織診、必要に応じ治療
扁平上皮がん SCC がん細胞 浸潤がん 総合病院紹介・精密検査へ

【腺細胞系】

結果 略語 意味 推定される病変 主な対応
異型腺細胞 AGC 腺細胞の異型 前がん病変または腺がんの可能性 コルポスコピー・頸管内評価・組織診
上皮内腺がん AIS 腺がんの初期段階 上皮内腺がん(非浸潤性) 円錐切除などの治療が推奨
腺がん Adenocarcinoma がん細胞が確認されている 浸潤性腺がん 精密検査・専門施設での治療
その他悪性腫瘍 other malig. その他の悪性細胞 肉腫など稀な悪性腫瘍 病変検索・精密検査・専門医紹介が必要

精密検査の流れ

細胞診の結果によって、以下のような検査が行われます。

  • HPV検査 がんに進展するリスクのあるウイルス(ヒトパピローマウイルス)の有無を確認します。
  • コルポスコピー検査 子宮頸部を拡大鏡で詳しく観察し、異常が疑われる部分を確認します。
  • 組織診:必要に応じて一部の組織を採取して、異形成の程度を確定診断します。通常、コルポスコピー検査時に行います。

CIN(子宮頸部上皮内腫瘍、別名子宮頸部異形成)と診断されたら

組織診の結果、CIN (Cervical Intraepithelial Neoplasia)と診断されることがあります。これは、「がんの手前の状態」であり、進行の程度によってCIN1、CIN2、CIN3に分類されます。

CIN1(軽度異形成)

自然に治ることが多く、30歳未満では約90%が自然消失するといわれています。

原則として経過観察が行われます。HPVが陽性の場合、型によっては4~6か月ごとの細胞診でフォローし、2回連続で正常であれば通常の検診に戻ります。

高リスクHPVが陰性の場合は、12か月ごとのフォローが目安です。

CIN2(中等度異形成)

自然退縮する可能性も十分ありますが、がんに進行するリスクもあるため注意が必要です。

高リスクHPVが陰性であれば経過観察を行いますが、陽性の場合には3~4か月毎の経過観察か、治療(円錐切除やレーザー蒸散)も検討されます。

CIN3(高度異形成、上皮内がん)

浸潤がんになる一歩手前の状態です。約12~31%が浸潤がんに進行すると報告されており、原則として治療が必要です。

治療は、子宮頸部の一部を切除する「円錐切除術」が基本です。

治療後も経過観察が必要です

治療後もHPVの再感染や再発の可能性があるため、定期的なフォローアップが推奨されます。

細胞診で異常が見つかっても、すぐにがんというわけではありません。

ただし、適切な精密検査と経過観察、場合により治療が必要です。

早期に対応することで、子宮、妊娠の機能を守りながら治すことができます。

当院では、検診後の不安に寄り添い、精密検査から治療方針の相談までサポートしています。

どうぞお気軽にご相談ください。