東小金井の産科・婦人科ゆうレディースクリニック東小金井

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2025年7月開院予定

低用量ピルについて
Column

低用量ピルは、女性ホルモンを少量含むお薬で、避妊だけでなく、月経に関するさまざまなトラブルの改善にも使われています。

低用量ピルはどんな時に使うの?

  • 避妊(99%以上の高い避妊効果)
  • 月経困難症(月経痛の軽減)
  • 過多月経(月経の量を減らす)
  • 月経不順の改善
  • 子宮内膜症の治療
  • ニキビや多毛症の改善
  • PMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)の症状緩和
  • 月経移動(旅行・受験・イベントなどに合わせて調整)

保険と自費、どう違うの?

保険適用:月経困難症、子宮内膜症の症状緩和、治療目的の場合、保険適用となります。診断のうえ医師が処方します。

自費診療:避妊目的や、肌荒れの改善、月経移動の場合には健康保険適用外になります。

ピルの種類と特徴

低用量ピルにはさまざまな種類があり、含まれるホルモンの種類や量、服用パターンが異なります。目的や体質に応じて、医師が適したピルを選びます。

ピルには、一般的にエストロゲンと黄体ホルモンという2種類の女性ホルモンが含まれています。

1錠中に含まれるエストロゲンという女性ホルモンの含有量により、高用量、中用量、低用量、超低用量に分類されます。

更に、黄体ホルモンの種類により、第1世代から第4世代に分かれます。

第1世代ピル

黄体ホルモン:ノルエチステロン

ルナベルLD/フリウェルLD

保険適用のある、1相性の低用量ピルです。

最も歴史の長いピルで、月経困難症や子宮内膜症の治療効果が高いことが特徴です。

ホルモンの含有量が多めであり、不正出血のリスクが比較的低い一方、副作用(頭痛や血栓症のリスクなど)がやや高いといわれています。

フリウェルLDはルナベルLDの後発品であり、ルナベルよりも安価になります。

ルナベルULD/フリウェルULD

ルナベルLD/フリウェルLDよりもエストロゲン含有量を減らした、保険適用の超低用量ピルです。

1周期中のエストロゲン総含有量が最も少なく、血栓症リスク軽減が期待されます。不正出血の頻度はやや多くなります。

第2世代ピル

黄体ホルモン:レボノルゲストレル

トリキュラー/ラベルフィーユ

自費の、避妊効果のある低用量ピルです。3相性のピルで、安定した周期を作りやすく、不正出血が起こりにくいピルになります。ラベルフィーユはトリキュラーの後発品です。

アンジュ

トリキュラーと同じく、3相性で、自費のピルです。

トリキュラーと成分、効果はほぼ同じです。ホルモン配合量や添加物に若干の違いはありますが、臨床的には大きな差はないといわれています。

ジェミーナ

保険適用のある、1相性の超低用量ピルです。血栓症のリスクが低いピルになります。

毎月休薬期間をもうける周期投与のほか、77日間までの連続投与が可能であり、月経の回数を減らすことにより、月経随伴症状の頻度を減らすことができます。

第3世代ピル

黄体ホルモン:デソゲストレル

マーベロン/ファボワール

自費の、1相性の低用量ピルです。

男性ホルモンのアンドロゲン作用が弱いため、ニキビや多毛症などに効果があります。

1相性であり、月経周期のコントロールがしやすい特徴もあります。ファボワールはマーベロンの後発品です。

第4世代ピル

黄体ホルモン:ドロスピレノン

ヤーズ/ドロエチ

保険適用のある、1相性の超低用量ピルです。

ドロスピレノンが利尿作用や抗アンドロゲン作用を持つため、むくみにくく、ニキビや脂性肌の改善効果もありますが、血栓症のリスクはやや高くなります。

また、休薬期間が4日間と他のピルより少ないため、ホルモン消退時の頭痛や下腹部痛などの症状を軽減することが期待され、PMSやPMDDに効果が高いとされています。ドロエチはヤーズの後発品です。

ヤーズフレックス

保険適用のある超低用量ピルで、ヤーズを連続投与する場合に処方されます。最大で120日間連続服用が可能で、月経回数を減らすことによりPMSや月経随伴症状の軽減が可能です。

アリッサ

保険適用のある、1相性の超低用量ピルです。

エストロゲン成分として、日本で初めて天然型エストロゲンの一種であるエステトロール(E4)を配合しているのが特徴です。

従来の低用量ピルに含まれるエチニルエストラジオール(EE)よりも肝臓への負担が少なく、血栓症のリスクを軽減させる可能性があります。

その他の黄体ホルモン含有量や休薬期間はヤーズと同じになります。2024年12月に発売された新しい薬であり、2025年12月までは1か月ごとの処方が必要になります。

ミニピル

自費のピルになります。これまで日本では承認されていなかった黄体ホルモン単剤のピル(ミニピル)の「スリンダ®」が、2025年4月初めて厚生労働省により承認されました。

従来の低用量ピルとは異なり、エストロゲンを含まないため、血栓症のリスクを抑えたい方や、エストロゲン配合ピルの服用が難しい方に適した新しい選択肢です。

スリンダ®の特徴

【成分】ドロスピレノンのみを配合。エストロゲンを使用しておらず、血栓症リスクが低いです。

【適応】避妊を希望する方、特に喫煙される方、35歳以上の方、授乳中の方、血栓症のリスクのある方に適しています。

飲み方と効果

  • 1日1錠、毎日同じ時間に服用します。
  • 排卵を抑制することで避妊効果を発揮し、月経のコントロールが可能になります。
  • 飲み続けることで月経痛や出血量の改善がみられる方が多く、日常生活が楽になります。

副作用について

初めの数か月に起きることがあるもの:吐き気、頭痛、不正出血、乳房の張り、気分の変化など(多くは自然に軽快)

まれだが注意が必要な副作用:血栓症(足の腫れ・痛み、息切れ、胸の痛みなどがある場合は、すぐに服用を中止し、受診するようにしてください)

喫煙される方、35歳以上、肥満、高血圧の方では慎重に判断が必要です。

必要な定期検査

初回処方時及び定期的に、以下のチェックを行います。

  • 血圧測定(毎回)
  • 問診(副作用の有無、生活習慣など)
  • 必要に応じて血液検査や婦人科検査

最後に

低用量ピルは、単に「避妊薬」ではなく、女性の健康やライフスタイルをサポートする重要な治療手段です。関心のある方は、まずはお気軽にご相談ください。